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2015年9月23日水曜日

【SHIROBAKO】SHIROBAKOスペシャルイベント ~どんどんドーナツ、ど~んといこう!~  スタッフトークショーまとめ

9月20日、神奈川芸術劇場で行われた、SHIROBAKOスペシャルイベント ~どんどんドーナツ、ど~んといこう!~ に行ってきました。


内容は、
・ 声優トークショー
→ 好きなシーンを挙げていきながらトーク
・ 朗読劇
→ コミック版SHIROBAKOの台詞に声をあて
・ スタッフトークショー
・ OP・EDライブ
という流れ。

当日は色々な方からも花が
みゃーもりの痛車も
本記事では、スタッフトークショーの内容を記載いたします。
スタッフトークショーでは、
株式会社インフィニット 代表取締役 永谷敬之 さん
株式会社 P.A.WORKS 代表取締役 堀川憲司 さん
ワーナー エンターテイメント ジャパン株式会社 川瀬浩平 さん
以上のお三方が登場し、事前に公式HPで受付が行われていた質問に回答をされました。

お三方ともサービス精神旺盛で、かなり刺激的なワードも飛び交いました。
本記事ではトークの意図から逸脱せぬよう、メモが不十分な箇所については公開していません。
細かな掛け合いについては削除していますが、大まかな流れは補完できていると思います。
以下に記録として内容を記載致します。

午前、午後の部で異なる質問の回答を行ったそうですが、以下内容は午後講演の内容です。

質問①
SHIROBAKOで印象的な台詞「万策尽きた」だが、本編製作中にそのような自体はあったか?
堀川P: 実際に尽きたのは第三飛行少女隊。
川瀬P: コンテが上がった段階で、監督が「あれは終わるのですかね?」と遠い目をしていた。
堀川P: あれは私のミスだった。3Dの戦闘機が作業的にあれほど重いと思わなかった。
もっと内容を軽くすべき等判断出来るだけの経験値があれば良かった。
ただ、監督は戦車の経験でそれを知っていたはずだ(笑)
※ 注釈
説明は不要だろうが、水島努監督はガールズ&パンツァーの監督である
永谷P: 監督は地面を走るものと飛ぶものは違うといっていたが。。。
しかし、現場は常に万策尽きそうだった。
本作は年末年始を挟んでいたので、年末進行、年明け進行、海外の旧正月等、様々な修羅場を迎えるイベントがあった。
堀川P: アニメ業界では2月の旧正月に動画と仕上げが完全に止まる。
多くの会社が万策尽きそうになる。
川瀬P: ギリギリになって予算が足りなくなりそうだった。
永谷P: お金の話はやめましょう(笑)

質問②
仁義なきオーディション会議はどれだけリアルな話なのか?
永谷P: 私は12年間、政治的なキャスティングを経験したことはない。
普通にオーディションをするので、本作等もフレッシュな声優になる。
堀川P: 私もないが、監督はあると(笑)
川瀬P: 監督とは10年仕事しているが、あのようなことは無かった。
堀川P: あそこだけにスポットを当てなくとも、他にスポットを当てるべき部分があった。
例えば主役が決まった際、他のキャラクターの声優がイメージと合っていたとしても、掛け合いで声質が被らないように配慮する。そういった部分を描ければよかった。
永谷P: 作中では年齢について言及しているシーンがあったが、そういったこともない。
監督は嫌なことでもあったのですかね?(笑)
川瀬P: オーディションの声優なんて皆上手い。
あとはキャラクターに合っているか。
掛け合い等の運が大きい。あとはスケジュール。
永谷P: オーディションで声優に配られる資料は限られている。その限られた資料から役を読み取る必要がある。原作モノ以外は。
どこまでキャラクターを汲み取れるかの勘所が重要。
川瀬P: そこはベテランは上手い。悔しいが、こちらのイメージに近い演技を作ってくる。

質問③
こだわりのシーンは?
堀川P: どうしてもやりたかったシーンは12話の杉江さん回。
ベテランを中心に若手が一丸となり、現場が一体となる空気感。
ベテランから若手へ、作り手の高揚感や素晴らしさが継承されるシーンは残しておきたかった。
川瀬P: 私は2話のポスター(笑)。
※ 注釈
武蔵野アニメーションや夜鷹書房に貼られていたパロディーポスターのこと
永谷P: 作品名は避けるが、もっとヤバイポスターはたくさんあった。
監督が現場をそそのかし、完全にアウトな画を持ってくる(笑)
川瀬P: アウトな画をチェックする横で「これアウトですよね」と監督が言ってくる(笑)
永谷P: 犯罪にならないようにこだわりました(笑)

質問④
プロデューサーになるために必要なもの、するべきことはなんですか?
永谷P: コミュニケーション能力を高める。
人見知りをしてると損をする。鬱陶しいぐらいアクションをしないとプロデューサーになるのは難しい。
急に図々しくなるのは難しいので、まずコミュニケーション能力を高めるべき。
それから、人に物事を伝達する上手さ、楽しみを伝える上手さが必要。
アニメは作った後、多くの人に見てもらい、評価を受ける。
魅力を伝える能力は社会に出てからも重要。
業界は人が少ないので歓迎する。

この中で私のアスキーのインタビューを読まれた方いますか?
アニメ業界を志すひとは参考に是非。
やらないで後悔するよりも、やって後悔したほうが良い。
※参考
ASCⅡ.jpより
渡辺由美子の「誰がためにアニメは生まれる」 第38,39回にて永谷Pのインタビューが掲載されています。
参考HP:
渡辺由美子の「誰がためにアニメは生まれる」 ― 第38回
渡辺由美子の「誰がためにアニメは生まれる」 ― 第39回

堀川P: アニメという企画は1人では出来ない。
私も原画1つ書けないが、こういうことをしたいんだ、このアニメはここが面白いのだ、
前向きに、同じ志を持った周りの人をどんどん巻き込みチームにしていければ、形になると思う。
永谷P: エンターテイメント産業は作り手が楽しいと思わなければ、ファンへ伝播しない。
川瀬P: アニメ以外の映像や本、違うメディアに触れることで、表現の幅を広げることが出来る。
アニメ以外に目を向けることも大切。

質問⑤
水島監督の最も悪質なイタズラはなにか?
永谷P: 脱獄や戦車がこんなに近くにあるとは思っていなかった。特に戦車。
これは監督にも直接言った。
堀川P: 水島監督は頭の切れる監督なので、ラインPに監督と駆け引きをするなと話した。
こちらの情報をオープンにして、監督の作りたいものを共に作るのだという気持ちを感じてもらえと話した。
すると、最終巻のオーディオコメンタリーで「堀川さんを丸め込むのは簡単だった」と言われた(笑)
※注釈
SHIROBAKO最終第8巻での監督のコメント。
当該巻では、22話~24話について、水島努監督と水島精二監督がコメンタリーを入れている。
非常に面白い内容なので、興味のある方は是非ご購入を。
永谷P: 色々なインタビュー等対応するが、水島監督の腹が読めない。
川瀬P: 基本目が笑ってないですからね(笑)
ただ、監督はお客さんに対してはとても真摯な方だ。
面白いフィルムを届けなければならないという使命感がある。
監督としてDVD、BDの売上を気にする人は珍しい。

永谷P: 他にも多くの質問を頂いているが、本日はここまで。
秋祭りで延長戦を行うので、無料イベントということで足を伸ばしていただければ。

メモ内容については以上です。
実際はもっと細かなお話がありましたが、大枠をコンプリートするのが限界でした。
不足点、不備等あれば連絡頂ければ幸いです。

個人的に、声優さんのお話以上に、スタッフの方のお話が好きなので、
トークショーが聞けて本当に楽しかったです。
無料イベントの秋祭りにて後半戦が行われるとのことですので、興味のある方は是非。

以上

【イベント日: 2015年9月20日】

2015年1月18日日曜日

【幸腹グラフティ】叡山電鉄コラボレーション企画

「幸腹グラフティ」と叡山電鉄株式会社がコラボを行い、ヘッドマークの実装とメインキャラクターの描かれた硬券タイプの入場券を販売しています。
詳細HP(リンク先PDF): 叡山電鉄株式会社 「幸腹グラフティ」コラボ企画 ラッピング車両の運行及び特別入場券の販売について

ヘッドマーク実装車両の運行は1月15日(木)、
特別入場券の販売は1月17日(土)から行われています。
販売初日の9時30分からは、出町柳駅横の特設販売所で、限定100セットで3駅分をコンプリートした切符セットが販売されました。

1人1セットの購入制限がついていましたが、1時間前には60人ほど並んでいたそうで、早々に完売したようです。
私が出町柳駅に到着した10時30分には完売していました。

各硬券販売駅は
出町柳駅: 切符台紙、森野きりんの硬券
修学院駅: 椎名さんの硬券
鞍馬駅: 町子リョウの硬券
です。
きりんの硬券を購入すれば、その際に台紙をセットで貰えます。
入場硬券は各210円です。
販売数に制限はありません。
※ 全てコンプリートすれば、特別発売会で販売されたものと同じものが完成します。

出町柳駅から鞍馬駅、修学院を全て回ると、最安で1050円必要です。
50円ほどですが、叡電1日乗車券「えぇきっぷ」を使用されたほうがお得です(販売価格: 1000円)。
特に叡山沿線の観光を行うのであれば必須です。

ヘッドマークを撮影しましたが、この日は生憎の雨でした。
また、雨が降っていないタイミングで撮影に行きたいです。

とても可愛らしいヘッドマークです

京都市内は雨だったのですが、鞍馬に近づくにつれ雪に変わりました。
せっかく鞍馬まで足を伸ばしたのだからと貴船神社に向かったのですが、予想以上の大雪でした。
鞍馬、貴船周辺には観光名所も多いですし、日帰り温泉等もあります。
叡電1日乗車券には各観光施設の割引も付いているので、利用するのもお勧めです。

完成した台紙がこちら。

17日夕方の時点で、修学院の硬券に印字されているシリアルナンバーが250ほどでした。
月末までは残らないかもしれません。
入手希望の方はお早めの利用をお勧めします。

ただ、鞍馬駅の硬券は残るかもしれません。
ハナヤマタコラボの硬券ですが、鞍馬駅のヤヤちゃんだけ残っていました。
誰か貰ってあげて下さいw

以上

【探訪日: 2015年1月17日】

2014年12月22日月曜日

【物語シリーズ】嵐山花灯路 舞台訪問

12/12(金)~12/21(日)、嵐山周辺がライトアップされる「京都・嵐山花灯路」が行われました。
ライトアップされている竹林の小径は、偽物語第5話にて羽川を見送るシーンに登場した帰路のモデルとなっているため撮影に行ってきました。

といっても、竹林の小径は休日に撮影したため、人が多くてカット合わせなどできる様相ではありませんでしたが。
雰囲気だけでも伝われば幸いです。


















作りが細かいなと感じたのはこの下の2カット。





 
  
 
羽川の後ろを阿良々木君が歩いているシーンですが、羽川カットの竹林には暖色のライト、阿良々木君側では寒色系のライトが当たっています。
どんな状態かというと下写真のような様相です。
細かい部分も再現されていて、面白いカットだなと思います。
竹林のカット回収は以上です。
休日は人が多いので三脚も使用できないですし、狙い通りのカットを撮影したいのであれば平日に来ることをお勧めします。
元々12月は観光客が少ないシーズンですし、平日の寒い日であれば随分マシだと思います。

また、花灯路では渡月橋や落柿舎、法輪寺といった場所もライトアップされます。
写真は渡月橋のライトアップです。
平日であれば人の写りこみが少ない状態で撮影可能です。
ホワイトバランスを変えて2枚紹介。
見た目に近いのは下の写真です。

星景写真を撮ろうと平日に行きましたが、雲が多く星が見えなかったのが残念。
来年再挑戦したいと思います。

以上

【探訪日: 2014年12月13-21日】 

2014年12月4日木曜日

全国アニメ聖地サミットin豊郷 基調講演に関するまとめ(前半)

全国アニメ聖地サミットin豊郷の基調講演に関する内容を2つに分けて紹介します。
前半は山村高淑さん/北海道大学教授 の講演を、
後半は柿崎俊道さん/聖地巡礼プロデューサー の講演をまとめています。
講演自体が配布された文献、発表スライドを基に展開されているため、本文の各小節に対する回答が適切でない箇所があります。ご注意願います。
また、論旨を逸脱せぬよう関係論文等にも目を通していますが、正確なニュアンスを知りたい場合はそちらの関係論文本文に目を通すことを強く勧めます。

あくまで、当日どのような講演が行われたかの参考になれば幸いです。

北海道大学観光学高騰研究センター 山村高淑
「アニメ聖地巡礼」と「コンテンツツーリズム」 ~作品への愛と旅することの本質について考える~

まずはじめに、私は「コンテンツは国境と世代を超える」ということを重要なテーマとして考えている。
例えば、2006年、フランスのリベラシオンが発行した新聞において、ポーランドとベラルーシの国境で16歳の少女二人が国境警備隊に拘束された。
その際、彼女たちの目的は日本に行くことであった。
彼女たちは日本のマンガ、ビジュアルバンドのファンで、その聖地である日本に陸路で行こうとした。
陸路というのが笑いを誘うが、当時日本ではこのような人達がいるのかと驚いた。

※注釈
2006 年 6 月に仏紙リベラシオンが伝えた事件は、「訪日動機」に関して、新たな観光研究の視点が必要であることを否応なく突き付ける顕著な例となった。
同年 6 月末、16 歳のフランス人少女2 人がパリから列車の旅を続け、ポーランドからベラルーシに出国しようとしたところを、ビザ不所持の理由で国境警察が拘束。
彼女らは、陸路で日本を目指していたという。日本の漫画やビジュアル系バンドの大ファンで、その発信元の日本に行こうと思い立ったという。
朝鮮半島までの陸路は鉄道を乗り継ぎ、海は船で渡ろうと計画していたそうである。
 “Lorie et Jennifer, fugue sans visas vers le pays des Manga” Libération 2006 年 7月 1 日。
日本でも「「あこがれの日本」へ家出」朝日新聞東京版 2006 年 7 月 5 日(朝刊)6 頁などの記事で報道され話題を呼んだ。
こうした現象を 19 世紀のジャポニズムと同様の現象と捉える向きもあるが、当時と決定的に異なる点は、この事件が示すように、交通機関の発達を背景として、コンテンツへの興味が観光行動に容易に直結する点にある。
さらに言えば、情報伝達のスピード、情報共有の同時代性、極めてサブカルチャー色が強い点、メディアとコンテンツの多様性、なども、19 世紀のジャポニズムと異なる特徴であろう。 
(山村高淑 観光革命と 21 世紀:アニメ聖地巡礼型まちづくりに見るツーリズムの現代的意義と可能性より抜粋 )

それ以外にも、登壇者が自ら体験された事例をいくつか紹介されました。
1) 日本ではなく、台北地下鉄で鳥居とオリジナルアニメキャラクターが観光の名所となっている事例
2) アニメ関連イベントに関してフェイスブックで投稿したところ、イギリスの大学の著名な教授からメッセージが届いた事例
3) 洞爺湖でのマンガフェスタ、コスプレにより世代を超えてコミュニケーションが発生する事例
4) フランスジャパンエキスポでの盛り上がり
等々、自身や研究室の方のコスプレ写真等を交え、コンテンツの可能性を面白く紹介されました。

それを踏まえ、以下の4項目に関して主に講演を行う
1) 言葉の定義: 「コンテンツツーリズム」、「聖地巡礼」、「ツーリズム」とは
2) 日本政府は「アニメ聖地」をどう位置づけているのか
3) 大衆文化としてのコンテンツツーリズム: 民(ファン)が育てた聖地巡礼という大衆文化について
4) 「聖地巡礼」「コンテンツツーリズム」の可能性と課題

1) 言葉の定義: 「コンテンツツーリズム」、「聖地巡礼」、「ツーリズム」とは
A. 「コンテンツツーリズム」とは
近年、コンテンツツーリズムという言葉を非常によく耳にするようになった。
これを議論するため、メディアとコンテンツの関係に関する変遷をまとめる。
観光研究において、メディア側がどのようにして観光を誘発してきたかは頻繁に研究されている。

19世紀: 写真、絵葉書、雑誌から此処に行きたいというイメージを誘発する
20世紀前半: 映画 e.g.ローマの休日等 戦後にはテレビといった映像媒体
現在: ネットをはじめとする複数のメディアにより一つのコンテンツが同時に展開

旧来ならば映画、TVが誘発するツーリズムというように、メディアとツーリズムを不可分の纏まりとして捉えていた。
現在は、様々なコンテンツが同時に進行しているため、何のメディアが主要因かという点が見えづらい時代である。
そのため、コンテンツツーリズムという概念が生まれてきた。

例としては2005年のyoutube社設立、2007年のニコニコ動画サービス開始が挙げれられる。

このような現状の中で、聖地巡礼(アニメツーリズム)において核となるコンテンツを、大きく3つの視点から見ることができる。
1. コンテンツホルダーたる製作者
2. コンテンツを享受するファン
3. それらを受け入れる間口としての地域
である。この3つによって聖地というのは成立している。
その中で、ファンがコンテンツを大事にすることで町おこしに繋がり、この現象が近年注目されている。

B. 「アニメ聖地」とは
通常、アニメ聖地というとアニメの背景、舞台のロケ地、作者や制作会社等に関係する場所がまず思い浮かぶ。
しかし、舞台でなくとも聖地となりうる場合がある。
それはファンが作品へオマージュを捧げることが出来る、作品世界を実感できる場所である。
例えば、横須賀の艦これ等。
また、誰がなんと言おうと大切なものを大切といえる場所も聖地たりうる。

C. 「ツーリズム」とは
近年、盛んにツーリズム研究が行われている。
その本質は【ツーリズムは自分を映す鏡である】という言葉に集約できる。
つまり、観光という行為を通して、ホストであれば自己の資源の価値を再認識、再評価する契機となる。
特にアニメ聖地巡礼では、アニメという外部の視点から価値を再認識できる。
豊郷の旧校舎しかりである。

2) 日本政府は「アニメ聖地」をどう位置づけているのか
歴史的には外務省が最も早くポップカルチャーに注目した。
外務省がポップカルチャーを活用した例として、2004年に自衛隊がイラクのサマワにラッピング給水車を派遣したことが挙げられる。
地元民に日本が平和的な支援を行うことをアピールするため、現地で人気のあるマンガであったキャプテン翼をラッピングし派遣した。
参考HP:
外務省: 在サマーワ連絡事務所より サマーワ「キャプテン翼」大作戦 -給水車が配る夢と希望-

観光に取り入れられる契機となったのは、2003年である。
当時の小泉首相が日本を観光立国にすると発表した。
観光立国元年ともいわれるこの時期、日本で誇れるものは何だという議論が活発化する。
2003年は冬のソナタが日本テレビで放送され、それまで韓国という国に興味のなかった女性が大挙して聖地巡礼に出かけた。
それまでの旅行地として印象をガラリと変えた韓国の実例から、フィルムの持つ力、コンテンツによる力を日本政府は認識することになった。
2005年、国交省、経産省、文化庁が報告した『「映像等コンテンツの制作・活用による地域振興のあり方に関する調査」報告書』の中で、初めてコンテンツツーリズムという言葉が使用される。
2010年、上海万博に合わせて、「JAPAN ANIME TOURISM GUIDE」を観光庁が配布する。
2011年にはJNTOが「JAPAN ANIME MAP」が発表される。

JNTOのサイトでは「JAPAN ANIME MAP」を見ることが出来ます。
Japan National Tourism Organization Web Site

2012年には『観光立国推進基本計画』において、ニューツーリズムのひとつとしてアニメの名が見られるようになる。
この中で、『アニメについては、作品の舞台となった地域への訪問など、参加者に対して周辺観光を促す地域の取組みを支援する。 』という文がみられる。

このように、1つの観光資源として注目されてきているのが現状である。
しかし、忘れてはいけないのは、政府が施策で行っていることと全く別の発生の仕方、ファン文化として聖地巡礼が生まれた点を強調しておきたい。

3) 大衆文化としてのコンテンツツーリズム
議論にあたり、アニメコンテンツツーリズムに関する系譜を大きく4つに分けた。
これらの各年代に転換期があったのではないかと考えている。
A. ~2006年: ファン主導期
→ 当時は地域と最初からタイアップするという例は見られない。
当時は自分で聖地を見つけて楽しむことが主流であった。
90年頃から聖地巡礼という行為が盛んになるが、70年頃からロケハン文化として同様の現象が確認できる。
e.g. 「アルプスの少女ハイジ」(1974)、「フランダースの犬」(1975)、「赤毛のアン」(1979)等

チューリヒ郊外のHirzel(ヒルツェル)には、アルプスの少女ハイジの作者であるヨハンナ・シュピリに関する博物館が存在する。
宮﨑駿も訪れたといわれるその舞台の一角にはアニメ版、アルプスの少女ハイジの看板が設置されている。
公式の画像が無かったため掲載しませんが、画像で探せば見つかります。
背景の美しさに惹かれ、マイエンフェルト地方へ赴く方も少ないようです。
山村先生もご自身のスイス探訪写真を紹介しながら現地の様子を講演してくださいました。

90年台になると、1つ大きな変化が訪れる。
ビデオテープの登場である。
ビデオテープの利点は一時停止を行えることであり、舞台を探す、背景の地図を確認することを可能にした。
当時の探訪例として挙げられるのがOVA「究極超人あ~る」(1991)である。
飯田線の舞台となった駅では、今でも20~30名程度のファンが集まり、駅清掃や究極超人あ~るの話題に花を咲かせている。

作中では、東京駅発~熱海・伊東~豊橋経由伊那市駅までのスタンプを全て集めることが出来れば旅費がタダになるというスタンプラリーを題材として、光画部が活躍します。
劇中には旅程や地図、件のΩカーブに関する映像もみられます。
冒頭、西園寺がスタンプラリーを企画する場面
鳥坂先輩の持つ光画部旅のしおりに登場

根強いファンも多く、ぼんぼり祭でも「~~~~光画部」という名入れが散見されます。(究極超人あ~るのファン?)
現在はAmazonでDVD版を購入することができます。

2. 2007~09年: タイアップ試行期
→「おねがい☆ティーチャー」(2002)、「涼宮ハルヒの憂鬱」(2006)が挙げられる。
特に「おねがい☆ティーチャー」では10年以上続くファンとの交流が行われている。
※注釈
『おねがい☆ティーチャー』ならびに『おねがい☆ツインズ』はその舞台が長野県大町
市の木崎湖周辺であったことから、放映後巡礼者が来訪し続けている。
こうした中、アニメファン有志と地元関係者が連携して、作品の時代設定である 2017 年
まで、今と変わらない美しい木崎湖の風景を残そうと、2007 年 8 月に清掃活動を核とした
環境美化運動「みずほプロジェクト」を実施、2008 年 9 月には第 2 弾が実施されている。
更に同プロジェクト実行委員会は、旅館・民宿の廃業が続き木崎湖周辺の街路灯の維持が
困難になっているのを救うための募金活動も展開している。
(山村高淑 観光革命と 21 世紀:アニメ聖地巡礼型まちづくりに見るツーリズムの現代的意義と可能性より抜粋 )

2006年に放送された「涼宮ハルヒの憂鬱」では、非常に精緻に描かれた背景が登場した。
ここで、多くのファンが背景の場所を探し当てることがブームとなった。
2007年には同アニメーション制作会社の作成した「らき☆すた」が放送される。
多くのファンが、京都アニメーションであれば背景モデルの地があるに違いないという推測のもと聖地巡礼を行った。
この後、角川と鷲宮の繋がりが生じたが、これがコラボレーションモデルの確立と考えられる。

本サミットで配布されたレジュメ集の中には「鷲宮におけるまちおこしの経緯」というタイトルで2004~2014年までの詳細な鷲宮で生じた活動年表が掲載されています。
出所は
山村高淑・岡本健・松本真治・山内正明・野村哲也(2010) 『鷲宮・幸手「まちおこし」年表(2004-2009)~鷲宮町と幸手市における地域振興の展開経緯~』
山村高淑・岡本健編 『次世代まちおこしとツーリズム』CATS叢書第4号. pp.77-80をもとに久喜市商工会青年部の方が加筆している資料です。
研究等で詳細な地域の動きを調べたい方がいらっしゃれば、資料請求をお勧めします。

3. 2009~11年: タイアップ方式確立期
この頃からタイアップ方式が確立されてきた。
顕著な例として挙げられるのが「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない」(2011)である。
秩父が舞台となったこの作品で画期的だった点は、「秩父アニメツーリズム実行委員会」として西武鉄道をはじめとする地元10団体が参加する委員会を作成し、「地域委員会」と「製作委員会」のタイアップを行った点である。
この地域委員会方式によって、役割分担、タイアップ効果を広く地域へ浸透させることが可能となった。

JAGATの記事より 観光案内の一部としてキャラクターが使用されています
※注釈
秩父アニメツーリズム実行委員会の活動は、2010年8月のイベント「銀河鉄道999in秩父」を皮切りにスタートした。その後、アニメ制作会社から西武鉄道へ協力依頼があり、2011年4月放映の秩父をモデル都市とした「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」の情報を得て、取り組み始めた。
アニメについて行政から積極的な広報はしなかったが、4月下旬になると聖地巡礼で秩父を訪れる大勢の若者の姿が町中で見られるようになり、商店街や地域住民の注目を集めた。
埼玉県は「となりのトトロ」や「クレヨンしんちゃん」など、アニメや漫画の舞台になることが多く、これらの文化を受け入れる素養があった。
「秩父アニメツーリズム実行委員会」には、2つの大きな役割がある。
1つは、観光客誘客やファンの「街なか回遊」を目的としたイベントの企画・運営、もう1つは関連グッズの企画制作である。前者は実行委員会を中心に、グッズは実行委員会メンバーの商工会議所が担当している。「商品化に関する目利きや専門知識など、ノウハウを持つ商工会議所が窓口に立ち、申請や版権料の支払いなどを代行してくれるため、アニメ制作会社にも商店街や地元企業にも喜ばれています」。
アニメ制作会社の承諾を得たグッズの商品化は、申請企業や商店が取引する印刷会社や製作会社へ発注するため、関連企業にも新しい需要が生まれる。こうして、「あの花」ファンはもちろん、商店や企業など関わる全ての人たちが恩恵を得るシステムが出来ていった。 
参考文献.
JAGAT: 「アニメの力で地域に若者を呼び込む ~観光都市・秩父の挑戦~」

この後、「輪廻のラグランジェ」(2012)の鴨川市、「あの夏で待ってる」(2012)の小諸市でも委員会方式が採用される。

4. 2011年~: 地域重視・多角展開期
現在は多角的な展開が見られるようになった。
その契機となったのが2011年の東日本大震災であると考える。
例えば「ガールズ&パンツァー」(2012)、「Wake Up, Girls!」(2014)等である。
制作側が明確に、被災地復興への貢献を念頭に、地域とのコラボレーションが行われた点にも注目したい。
この頃は、ロケハンの段階で、制作側と地域との根回しが十分に行われるようになっていった。

また、南砺市の「恋旅~True Tours Nanto~」(2013)では、地域限定配信をすることで観光を誘致する試みも行われている。
この点は、スマートホン等、メディアの進化によって新たに生まれた試みだと考えられる。

4) 「聖地巡礼」「コンテンツツーリズム」の可能性と課題
「文化財をどのように観光に活用し、保護していくか」という命題がツーリズムを研究する大きな目的としてあった。
そのような意味でみるならば、この豊郷小学校の経緯は代表的なモデルと考えられる。
文化財を次世代に継承していく際、全国的に多くの自治体が頭を悩ませているのは、ファンを増やすことが難しいという問題である。
地元の文化財を理解し、支援してくれるサポーターを、地元だけではなく全国に広めることで、認知するようにしたい。
しかし、建物の由来や技術等をプレゼンしたとしても、それに影響を受ける人は限られている現状があった。
アニメによる地域振興で注目すべき点は、今まで文化財保護のサポーターとして想定していなかった人に届けることが出来たことである。

豊郷の旧校舎も解体寸前までなったが、現在では「とよさと軽音楽甲子園」が開催される舞台となり、文部科学大臣賞、滋賀県知事賞、NHK大津放送局長賞まで創設されている。
文化財を保護し、継続して活用する例としても注目すべきモデルである。

最後に、コンテンツツーリズム進行で大切なことをまとめて〆る。
(1) まずはコンテンツが重要
→ その上で、作品への愛がなければならない。
地域の文化やコンテンツとビジネスの接点をファンや製作者と共に考えることが重要である。
(2) タイアップ相手の利益を考えること
→ 代表的な2つの方法がある。
「共同プロモーション」: e.g. BDが発売される際に地域の祭りとタイアップすることで両方の宣伝をする等
「ライセンスビジネス」: 売上のn%を支払うので、パッケージに使用させてもらう等
長続きしている聖地では、相手方のビジネスに関してもよく理解している。
(3) 舞台でなくとも、コンテンツと地域を面白い発想で結びつければ価値を創造できる
例えば宇宙戦艦ヤマト2199と日本三景のコラボレーション
参考HP:
宇宙戦艦ヤマト2199 公式HP: 宇宙戦艦ヤマト2199×日本三景タイアップが決定
松島観光協会: 日本三景・松島×宇宙戦艦ヤマト2199 のコラボレーションについて

公式HPより 宮島とのコラボレーション
また、同じく宇宙戦艦ヤマト2199と仙台市交通局がコラボした「icsca」のPR動画もその一例である。
製作委員会の方が遊び心を持って地域とタイアップしているという一例である。
参考HP:
仙台市交通局 公式HP: 『宇宙戦艦ヤマト2199 星巡る方舟』とタイアップ
you tube 松竹チャンネルの公式動画: 『宇宙戦艦ヤマト2199 星巡る方舟』×仙台市交通局 icsca発進

(4) 「古いもの」を「新しい方法」で見せること
(5) 「地域振興」という言葉を使わない
→ アニメと地域のタイアップが長く続く舞台は、「地域振興」という言葉を使っていない。
ファンにとって「地域振興をするから来てください」といわれても、それはそちらの事情だろうと感じてしまう。
(6) 地元住人の理解を得ること
→ 偏見、先入観をなくすことが重要。
埼玉新聞では、月に一度「サイタマニア」というほぼアニメ一色の広報誌が配布される。
記事では声優が聖地の紹介をする等して、地元住民への理解を促している。
参考HP: サイタマニア
(7) コンテンツのファンから地域のファンになってもらう仕掛けが必要
→ アニメファンはブランド・ロイヤリティが高い性質がある。
そういう方々が地域のファンになれば、末永く地域を愛してくれる可能性が高い。
(8) 大まじめに馬鹿なことをする
(9) 同じ価値観を持った地域と横につながること
→ 1つのアニメにおけるファンの市場はあまり大きくない。
しかし、1つの聖地から、次の聖地へファン同士が繋げていくことも多い。
巡礼は点ではなく線の性質を持っている。
(10) 「妄想にひたれる場所」をプロデュースしていくこと

〆

以上が山村高淑さんの講演内容をまとめた記事です。
その他の資料として、山村先生が講演なさっている映像を紹介しておきます。
こちらも興味深い内容です。
youtube: 地域に向かうアニメ・コスプレ・若者たち / 山村高淑

誤表記、間違い等指摘があればコメント/メッセージを頂ければ幸いです。

以上

2014年11月5日水曜日

【ヤマノススメ】 八幡山ラッピングロープウェー撮影


2014年10月18日(土)から、八幡山ロープウェーが「ヤマノススメ」とのコラボレーション企画ということでラッピングゴンドラの運行を開始しました。

最寄り駅は滋賀県のJR近江八幡駅。
近江八幡駅からは近江鉄道に乗り換えが可能で、「けいおん」の舞台である旧豊郷小学校のある豊郷駅があります。

八幡山ロープウェーまでは駅から徒歩で40分程度。もちろんバスも有ります。
 ロープウェー周辺には八幡堀等の名所も多くあり、観光地としても魅力的です。
 
麓のロープウェーのりばです。中で記念乗車やグッズを販売しています。(グッズは頂上でも販売しています)
入り口では看板が出迎えてくれます
とりあえず、ロープウェーのチケットを購入。
せっかくなので山を登ろうと、往路は登山を選択しました。
山頂までの時間は約30分。
10月も終わりに差し掛かっていましたが、好天に恵まれていたため水分補給が必須でした。
 
ラッピングゴンドラの表面 こちらは麓で撮影したもの
こちらが裏面 登山途中にゴンドラを見上げることのできるスポットが有りそこから撮影しました。
山頂ではこちらの巨大ボードと作品展と銘打ち2期のパネルが展示されていました。
頂上からの風景 駅から観た際はそれほど高くない山と思いましたが、登ってみると予想以上に壮観です。

以上、簡単なレポートでした。
今回登った際は紅葉はまだまだという印象でしたが、
11月15日(土)からは紅葉の夜間ライトアップも行われます。

【探訪日: 2014/10/26】

2014年11月4日火曜日

第3回 ぼんぼり祭り スタッフトークショウ内容のまとめ

当時まとめていた記事が出てきたので掲載しておきます。

第3回は日中から生憎の大雨でしたが、その豪雨に一時阻まれながらも、永谷プロデューサー、安藤監督、堀川社長、そしてシリーズ構成の岡田麿里さんがトークショーを行ってくださいました。

第3回ぼんぼり祭では、花咲くいろはHSHのBDが先行発売ということで、HSHに関する内容に関して質問がなされました。
当日の朝には、永谷Pからtwitter上で質問募集という旨の告知があり、基本的には質問に答えていくという形式で行われました。
 
 ↑ 第1回と同様の会場で行われました

(以下、質問内容と回答の要約)

質問1: 劇場版から少し修正がかかっている部分の意図は?
安藤監督: 劇場版は一期一会だが、BDの場合は手元にいろはの劇場版が届くため、何回観ても大丈夫なようブラッシュアップした。
例えば、巴さんのほくろの位置を元に戻したとか。それが2、3箇所。某新宿の地下で行ったトークショウで指摘された箇所を直したり。汽車の年号の部分をより正確にしたり。バスを一台追加したり。その他色々。
皆さんが何回観ても鑑賞に耐えられるよう、一生の宝ものにできるよう、細かい箇所まで250カット程度修正した。
永谷P: 250カット、リテイクの箇所は300を超えていたが、一度しか観ていない人は分からないが、何十回と観た人であれば気づく箇所があるかもしれない。
ただ、劇場で流した物が完成途中だったということはない。ある種、中には贅沢リテイクと呼ばれるものもあり、「これ直すんですか監督。。。」というシーンも劇場版ということで見直してた。

ちなみに、永谷Pは鏡に映った巴さんのほくろ、4回めぐらいにバルト9で観た時に気づいたとのこと。

質問2: 劇場、26話と楽しませてもらったが、新作映像の予定はあるか
堀川社長: 僕も見たいが、今回の劇場版で監督もスタッフ一人一人もやりきったという感覚がある。
その中で、彼らの中から「もう一度作っても良いかな」という気持ちが溜まっていく、または僕らじゃない次の世代のスタッフが新しいいろはを作ってくれるのであれば、それは観てみたい。
なのでまったくゼロではないが、どのような形になるかは僕の中ではまだ形になっていない。
安藤監督: いろはには愛着もあり、やりきった感もある。しかし離れ難き愛着の大きい作品なので、軽くこうしようといった形は考えていない。
また、現実的な問題として、スタッフみな売れっ子で、何年か先まで予定が埋まっている。
岡田: (何か他にやってみたいことありますかという問いに対して)
担当した長い作品はハム太郎など数える程度。
今回2クールということでドラマ立てしたけれども、一話完結で色々な客が来る話もやってみたかった気持ちはある。
永谷P: 第一回ぼんぼり祭の際、スペシャルという形で発表した。
しかしこの企画も着地するまでにそれなりの時間を要した。本当にやって良いのかという点を吟味したのは事実であり、今ここでお客さんが多くいるのでやりましょうということではない。やるからにはスタッフ全員全力投球をしたい。
今回はPAworksの初原作、特に10周年記念企画という作品だった。
要望があり、ぼんぼり祭が残っている限り、花いろが終わるということではない。僕らが話をしていく中で、チャンスがあればということかと思う。

質問3: 新作映画を作る上でのこだわりは何かあったか
安藤監督: 映画は劇場まで行き、チケットを買って観る。そこまで来て頂けるお客様に満足して頂けるフィルムにしたいという気持ちがあった。
その中で、オール新作にしたいというのを一番に考えた。時間が少し短くなっても、花いろの良い所を詰め込んだ、劇場で観た時に花いろを好きで良かったと思って頂けるようにしたいと精神的な面ではこだわった。
永谷P: 最初26本で完結するとなり、その後スペシャルという形で発表したが、劇場版の中でTVシリーズの活かしたい点等、シナリオの面でこだわった点はあるか。
岡田: HSHっていうのが一番最初に付けた仮タイトルだった。
自分の中では、「仕事物」だけではなく、、家族というものを入れてみたいと思った。HSHという名前は一度却下されたが、その時に思った気分を書いてみたいというのはあった。そのため、本編の中に入れ込んだつもり。
「オハナ」という名前がハワイで「家族」の意味でしたり、その点で原点回帰ではないが、そのような気分があった。
堀川社長: 昔ならば劇場版作品は一生に一度チャンスがあるかというものだったが、最近は数が増え、それだけチャンスが貰えるようになった。
その中で流されるというか、忙しい中で作ることで流されがちになる。
しかし、後から振り返った時、劇場作品をやれるチャンスというのはありがたいということをひしひしと感じるもの。
次の作品を作る時にも、いい加減な、軽い気持ちで劇場版作品を作ろうという気持ではなく、劇場を作るということは、みんなの気持ちがグッと、「これを一本、一生懸命仕上げるんだ」というもの。
宮崎さんなどは命がけで一本一本作っていく人だが、劇場版はそういうものだと思う。
軽い気持ちで、忙しさに流されず、このチャンスをありがたく思って作っていけたらと思う。
永谷P: 今回の劇場版が66分という尺だが、テレビが20分少々。
ただ、単純にその三倍作れば良いといいうことではなく、作るからにはカロリーも、三倍どころではなく跳ね上がる。
そういったことに関して、手を抜かない、ファンの方々に喜んでもらえる、そして僕らが信じた花咲くいろはをやりきるということかと思う。

質問4: 第四回のぼんぼり祭りはあるか?
永谷P: あります。
基本的に、ぼんぼり祭というものはイベントという位置づけではない。
湯涌の町にぼんぼり祭というものが、僕が死んだ後も残っていれば良いという覚悟をもって始めた。
そのため、四回目なのでそろそろ終わるというものではないと考えて頂ければ。

質問5: 新作の映画で、緒花にスポットを当てるのではなく、皐月にスポットを向けた意図は?
岡田: 全員にスポットを当てたとして、全体として劇場版の雰囲気を作っていく時、しかし誰か1人キラキラしてるヒロインが欲しいなと思った。
各キャラクターを、幾つものラインを繋げていく時の一つ接着点。
劇場版というTVシリーズの途中の話だが、花咲くいろはというタイトルなので、ある意味花咲いた少女の瞬間の話を書いてみたかった。
劇場版では、皐月はああいう咲き方だが、咲くまでの足がかりができてる状態で終われたのかなと思っている。
永谷P: 新しいヒロインという意味で、緒花との対比構造とかもあったのかとプロデュサーの立場からは見えた。

質問6: 苗字はこの地域の地名だと分かるが、名前の由来はあるか?
岡田: 緒花は家族からきている。民子は「子」が付く名前が好きでなため。
永谷P: 民子という名前はわりと古風だが何か意図はあるか?
岡田: 自分がシナリオ書く時、名前の変化とかは気になる。
例えばどこで「ちゃん」呼びが呼び捨てになるのか、あだ名つけるのかといった関係図書くのが好きだ。
あだ名、たしかメンチを食べていたと思う。
永谷P: なるほど、民子という名前の前に、「みんち」というあだ名が先にあったということ。
岡田: 「なこち」はなんか「なこち」とつけた。
そのあとの「きもなこち」は、なにか降りてきた感じ。かなり偶然だった。
永谷P: 全キャラ岡田さんが名を付けたんでしたか?
岡田: 西村さん(西村純二: 同社作品true tearsの監督 花いろTVシリーズでは脚本、コンテ、演出で参加)の回のキャラ、伊佐美 轍夫に関しては西村さんが付けた。
安藤監督: あと、菜子の家族は18話の時に「ともや」「まな」と篠原さん(篠原俊哉: 同社作品凪のあすからの監督 花いろTVシリーズではコンテ、演出で参加)が名づけた。
岡田: 篠原さんが唐突に。別の作品になるが、凪のあすからで「まなか」という名は篠原さんが「まな」と付けてくれたため。
篠原さんと安藤さんへの愛をミックスさせた感じ。

質問7: 第3回となり、地域に馴染んできたが今後グッズやタイアップといった計画はあるか?
永谷P: 僕自身、特定の舞台を使用させていただく場合、刹那的、例えば今日、湯涌に来てほしいということではない。
どちらかといえば5年、10年先のことを実は考えている。
この中にご結婚されてる方、子供がいらっしゃる方がいると思うが、例えば、10年後に結婚をしていて、子供がいて、家族で旅行に行こうといった時、「そういえば昔見ていたアニメに湯涌温泉があったな」という、そうした体感したことによる記憶を、花咲くいろはという作品を思い出して欲しい。
確かにtwitter等でも、湯涌の町等にもっとポスター貼らないのかと聞かれることがある。しかし、基本的にはやらないと答えてる。それはなぜかというと、作品の中の風景というものと、現実の風景が著しく乖離してしまっては、例えば10年後に来た時、なにか違うなとなるのは嫌だなという気持ちがある。
色々なお声がけをされることは確かにあるが、ファンの皆さんに喜んでもらえ、これであれば地元の方にも受け入れてもらえるのではないかというものを選びながらやってるというのが本音の一つ。
色々なお声がけをされることが増えたのは事実なので、今後できることはやっていきたい。第4回の話をしたが、イベントではないけれども、花咲くいろはというものに触れてもらえる機会というのは可能な限り取り組んでいきたいとプロデュサーサイドとしては考えている。これはtrue tearsもそう。

質問8: 今回の劇場版で一番観て欲しいシーンは?
岡田: 最後の皐月が走りだすシーンの台詞は、号泣しながら書いた。ここまで号泣しながら書いたのは久しぶり。私も走り出さないと、と思ったのでそこが一番好きだ。
永谷P: ラストの緒花が生まれたところから。
僕はHSHのダビング作業中に子供が産まれた。シナリオ会議に出ていた時と、産まれてからHSHを視た時とでは全然イメージが違っていた。今回BDを買った方たちは、長く手元に置いて、人生の変化があった時に見返していただけたらと思う。

最後に各スタッフからの挨拶で終了。
以上。
永谷Pの舞台に対する考え方は以前から他のイベントでも話されていますが、とても素敵なフィロソフィーだと思います。
永谷Pのプロデュースされてるアニメの舞台に、思わず足を運んでしまうのも、こういった理念でアニメを作っているからかもしれません。
次は洞爺湖に天メソ探訪したいですが、冬は絶対に嫌なので夏まで待ちます。