2016年2月28日日曜日

【マホロミ 時空建築幻視譚】 横浜 舞台探訪 ① (聖地巡礼)

2010年から2015年までビッグコミックスピリッツで連載されていた、
冬目景先生の「マホロミ 時空建築幻視譚」の舞台探訪へ行ってきました。
(「羊のうた」や「イエスタデイをうたって」の作者とご紹介すればご存じの方も多いでしょうか?)

突如、取り壊される建物の記憶を幻視できるようになった主人公が、同じく建物の思いを感じることのできるヒロインと共に、建物の最後の願いや心残り実現したり、変わりゆく姿を見届けるストーリーです。
波乱万丈に物語が進行するというよりは、失われゆく建物へ寄り添うようなストーリーで、建築への興味を唆られる作品でした。
作中で主人公たちの住む街が横浜であることは描かれており、カット中には駅名が判別可能なものもあります。
準備不足で一部のカットしか発見できていないため、興味のある方は本書片手に探訪されてはいかがでしょうか。
以下、今回の探訪で確認できた場所を紹介していきます。

【白楽駅】
作中1巻から登場する白楽駅。(ちなみに1巻には大倉山駅も登場します)
主人公の土神くんや真由里さんも使用しており、最終巻では真由里さんを送り出すシーンにも使われました。
・白楽駅前
看板も作中と似た位置に出されていました。
 
・白楽駅改札
 




・白楽駅構内
水飲み場、自動販売機等の位置関係も同じです。




 
こどもクリニックの看板は当時と変わらず。
ここは是非見たかった場所です。

 

ホームから見える景色も、現実の風景と一致度が高いです。

 

【六角橋商店街】
雨の中、作中の曲線形アーチを必死に探していたのですが、全く見つからず。
ふれあい通りの八百屋さんに「こんなアーチ探してるのですが。。。」と声をかけると、
なんと2015年の11月に撤去されてしまったとのこと。
現在は神奈川大学デザインの新しいアーチにかけ変わっています。
おじさんからは「ちょっと遅かったね」と慰められました。
町並みの変わりゆく瞬間をしみじみ感じた瞬間です。
少し本作チックな体験だなと感じました。

 

アーチのデザインや高さは変わっていますが、作中の場所は白楽メディカルセンターが目印。
屋根の柵、窓の形状、消火栓の位置等が一致しています。

余談ですが、お世話になった八百屋さんが入っているアーケードですが、驚いたことに木造アーケードです。
道幅かかなり狭く、火事があると大変そうな構造です
驚いたことに屋根は木造
道幅も狭く、小さめな建物が密集して作られたアーケードで、目線を上に向けると木製の窓枠や手すりが目に入ります。
初めての体験でかなりテンションが上がりました。
雰囲気の良さそうな喫茶店や面白そうな店も多く、次はこの商店街の散策をしてみたいと思います。

【赤レンガ倉庫】
こちらは3巻の表紙。
朝も早い時間だったため人も少なく、前日とはうってかわっての晴天と、気持ちの良いロケーションでした。
表紙との一致度は高いです。




















【馬車道大津ビル】
馬車道駅を出てすぐ。
県立歴史博物館の対角にあるのが、作中でアトリエ モリエの引越し先として描かれている「馬車道 大津ビル」です。
 
元々は「東京海上火災保険ビル」で、平成12年には横浜市認定歴史的建造物に指定されています。
説明には、
「シンプルな外観ながら、壁面を覆うタイルの多様な張り方を主たる意匠とするアール・デコ特有のスタイルを示す」
とありますが、特に頂部では多様な幾何学模様を見ることができます。
頂部のタイル模様

















十字路を挟んで対角には、現在県立歴史博物館となっている「旧横浜正金銀行本店」があります。←超美しいです
駅近く、歴史的建造物も多い魅力的な土地ですが、作中の事務所家賃がいくらなのか気になります。

【イセザキ・モール】
FILE 23. 彼女の名画座 #2の扉絵。
真百合さんがメインで描かれており、個人的に見つけたかった場所です。
イセザキ・モール内で発見。
イスの形状、頭部から見える掲示板の位置関係から確度が高いです。
モール内を探しまわり、この位置関係を再現できるのはここだけでした。

【横浜オデオン座跡】
「彼女の名画座」にて文明座として描かれたのが、横浜オデオン座跡、現在のドン・キホーテ 伊勢佐木町店です。
実際に、1911年からここは映画館があったようで、日本初の洋画封切館で、「封切」という言葉の発祥地になったとも言われているようです。
経緯が詳しくレポートされている記事がありましたので、詳細は以下。
参考HP: はまれぽ.com様: http://hamarepo.com/story.php?story_id=3478

以上が今回見つけることのできた舞台です。
作中に出ておらずとも、馬車道駅、日本大通周辺を歩いていると、目を引く美しい建築が多く驚きました。
同時に、解体準備が勧められている建物も。
仕切られており近づくことは出来ませんでしたが、近くの警備員の方に話を聞くと、大きなマンションになるとのこと。
メダリオンの意匠が横浜第二合同庁舎と同じモノでしたし、大きく「C」の彫りが施されていました。
ここらへんを手がかりにすれば、もともとどのような用途で使用されていたものか調査できるかもしれません。
「C」のナンバリングから倉庫?とも考えましたが。
メダリオンはおそらく横浜第二合同庁舎と同じ意匠

































六角橋商店街のアーチもそうでしたが、土地もどんどん変化していることを感じた瞬間です。
現在を少しでも感じ、切り取ることができれば良いなと感じた今回の探訪でした。

まだまだ2巻の表紙や白楽駅周辺の坂道等見つけられていない場所も多く、再訪して調査継続していきます。
(本作の場所だけでなく、建築自体を巡る機会も設けたいところです。)
本書は全4巻。
電子書籍も販売されているため、興味を持たれた方は一読されていはいかがでしょうか。

以上

【探訪日: 2016年2月20-21日】