2011年6月7日火曜日

【忘備録】Molekelを用いた静電ポテンシャルマップの作成

静電ポテンシャルマップを作成する機会があったのですが、いろいろと試したところ"Molekel"というソフトが使いやすかったので紹介します。

Molekel

Molekelは分子構造を3Dにて可視化するツールで、GAMESSとの相性が良いみたいです。
自分はGaussian09の結果を用いました。
このソフト、かなり描写性能が高いです。
忘備録として使い方を載せておきます。
ちなみにOSはMac OS Xを用いています。


Molekelを用いた静電ポテンシャルマップの作成方法

■ inputファイルの作成
Molekelを用いてGaussian09のアウトファイルからESPマップを作成するには、次の手順が必要となります。

(1) Gaussian09のインプットについて
.comファイルのルートセクションに
pop=(full,ESP)
GFOldPrint
の2つを指定します。
gaussian03ではpop=(full)で十分ですが、09ではpop=(full,ESP)と指定しておかないと、カラーリングが行われないようです。

(2) g09のフォーマットをg03に変換します。
(1)を計算する事で出来た.outファイルをMolekelで使用できるように変換します。
変換には変換用スクリプト“convG09to03.sh”を使用します。
このスクリプトは公式サイトで配布されています。
ターミナル上での文法は
% convG09to03.sh file_name.out file_name.g03
です。
この作業で、拡張子が“.g03”となっているファイルが作成できたはずです。


■ Molekelの使い方
(1) Molekelを起動する
Molekelには32 bitと64 bitのバージョンが配布されているので、計算を行うマシンにあわせて選択してください。

(2) ESPマップの作成
作成した“.g03”のファイルを開きます。
分子が表示された後、
Surfaces → Electron Density を選択します。
Density Matrix、Map Molecular Electrostatic potentialのチェックを選択し、Generateボタンを押せばESPマップが作成できるはずです。

(3) 作成時のオプション
① 範囲の指定
分子を白い線が囲んでいると思いますが、これは描写の範囲を示しています。このボックスに入りきらない軌道は、形が途中で切れてしまうので注意してください。
この大きさを変更するにはBounding Boxのdx、dy、dzを変更してください。ボックスの大きさは計算量にも関わってきますので、無駄に大きくすると計算に時間がかかってしまいます。注意してください。

② 等電子密度表面の指定
Isosurface Valueを指定する事で変更する事が出来ます。

③ 描写量の変更
図の美しさに直結するのがStep Sizeです。この値が小さければ小さいほど、ポリゴンが滑らかになります。目安としては、0.5でPS、0.1以下でPS3のゲームを想像してもらえれば良いと思います。
Step Size = 0.5

Step Size = 0.1


④ 表示形式の変更
Rendering Styleを変更する事で、固体、メッシュ、点描写の3つを指定する事が出来ます。
透過させるにはTransparencyを選択し、Density Matrixの数値を大きくしてください。

⑤ Anti Aliasingの設定
タブのDisplayから3D View propertiesを選択する事で指定できます。
デフォルト設定は0です。10程度にしてあげるとちょうど良いと思います。
Anti Aliasingがかかった状態で分子を回転させると、非常に重くなるので注意してください。

⑥ Depth peelingの設定
詳しくは分かりませんが半透明処理を施す際に必要となる設定のようです。
おそらく、重なっている物体に対して、どれだけのレイヤーを重ねるかを設定しているのだと思います。デフォルト設定は4です。


以上が基本的な使い方です。
ESPのスケールを指定したいのですが、そこらへんはまだ調べ中。
さらに綺麗に加工したいのであれば、Shadersを用いると良いようです。
誰かの参考になれば幸いです。